2547年5月のとある日(1)「ベビースコーピオン」

朝トイレで気張っていると突然左肩に重たい衝撃が走りました。反射的に肩をはらい何事かと考えていると、床に蟻くらいの大きさのサソリが這っていました。そのサイズと肩に残る痛みとはかけ離れているような気もしましたが、自分の体ほどもあるハサミを揺すって歩くその容姿からして奴の仕業と確信しました。珍しかったので踏みつぶすことも忘れ眺めていると、壁の隙間に消えて行きました。トイレを出ておばさんに説明すると深刻な顔をして薬草を塗ってくれました。
近所の子供と一緒に隣のプーさんの家の庭仕事の手伝いをしていると、日本人がベビースコーピオンに刺されたぞ、とばかりに見物人が現れたりしました。心配そうに先程とは違う薬草を塗ってくれたり、どんくさい奴だと笑われたりしました。プーさんは流石に看護婦だけあって近代的な薬を塗ってくれました。肩の痛みはなかなか引きませんでしたが、笑われたままではしゃくなので名誉挽回とばかりに盛られた土を均しては石を取り除く作業に精を出しました。プーさんの家は明日落成式をするので子供達には任せてられません。張り切って働いていると肩どころか全身痛くなりました。
そんな僕をみかねてか按摩師を呼んでやろうと言われましたが、それではあんまり面目ないので辞退しました。



小さいけれど結構タフなピンポンちゃん。仕事は彼女に任せて僕は撮影に専念することにしました。



悲鳴が聞こえたので何事かと思えば、ピンポンちゃんのお父さんにニワトリが絞められていました。落成式で食われるそうです。



その晩、ベットに潜ってふと天井を見ると奴がいました。退治してやろうと思いましたが折角なので望遠レンズで撮影しました。そんなことをしている内に奴は何処かえ消え去りました。近所の人はベビースコーピオンと言ってましたが、単にサソリの子と言う意味なのか、それともそう言う種類の虫なのかは知りません。奴の行方は気になりましたが、疲れていたのですぐ眠ってしまいました。

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